若いうちにiPS細胞をつくった方が良い理由 | 【公式】パーソナルiPS

COLUMNコラム

2022年11月22日

若いうちにiPS細胞をつくった方が良い理由

一般的に、iPS細胞を作る場合、若いうちに作製したほうがいいと考えられています。その主な理由は2つあり、まず1つ目は年齢を重ねると遺伝子の損傷が蓄積するため、2つ目がiPS細胞の作製効率が低下するためです。


遺伝子の損傷

まずは遺伝子の損傷についてみていきましょう。iPS細胞の品質に対して年齢がどのような影響を及ぼすのか、数多くの研究が報告されています。それらの研究によると、リプログラミング(細胞の初期化)の際に細胞の性質の多くはリセットされて若返ることが明らかにされており、ドナーが高齢であることはiPS細胞作製にあまり問題ないように思われます。

しかし、残念ながら遺伝子が受けた損傷だけはリプログラミングによってもリセットされることはありません。つまり、遺伝子の損傷は加齢とともに増加していきますが、iPS細胞になっても元の状態には戻れないのです。

よく知られている例として、がんは高齢者ほどなりやすいという話を聞いたことがあるのではないでしょうか?がんのような病気はある日突然発症するというわけではなく、時間とともに遺伝子の傷が蓄積されていくことでじわじわと発症リスクが高まっていきます。遺伝子に傷が少ないiPS細胞を作製しておくことが望ましいことから、なるべく若いうちが良いのですね。


iPS細胞の作製効率

次に、加齢がiPS細胞の作製効率に与える影響についてみていきましょう。iPS細胞の作製効率、つまりリプログラミング効率は、遺伝子の個人差や原料となる細胞を取り出した組織、リプログラミングの方法など、様々な要因に影響されることが明らかにされています。そのような作製効率に影響を与える要素の一つとして、年齢も挙げられています。では、なぜ年齢がリプログラミング効率に影響を及ぼすのでしょうか。

ヒトやマウスを対象にした研究によって、細胞の老化とリプログラミングが密接に関連していることが分かってきました。もう少し詳しく説明すると、先に説明した遺伝子損傷の蓄積やテロメア(染色体の末端に存在し、遺伝情報を保護する構造)の短縮などといった、加齢に伴って起きる変化がリプログラミング効率に影響を与えることが分かってきたのです。また、加齢によって働きが強まる遺伝子(p53やInk4aなど)が存在し、その遺伝子は細胞初期化を邪魔するということが示されました。このような遺伝子の存在が、高齢ドナー由来細胞のリプログラミング効率を低下させているのです。


高齢者はiPS細胞を作れないの?

最後に、既に高齢となった方はiPS細胞を作るのを諦めるしかないかというと、必ずしもそうとはいえません。事実、100歳を超える高齢者からiPS細胞を作製できた例もあります。また、iPS細胞から作られる細胞は、ドナーの年齢に関係なく再生治療に適している可能性が示唆されています。

これまでに述べた通り、蓄積した遺伝子の傷はiPS細胞になっても除かれないこと、作製効率が低下することは確かですが、不可能というわけではありません。 以上より、iPS細胞の作製に興味を持っている方は現在の年齢に関係なく、なるべく早いうちに作製することがおすすめです。

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