コラム

再生医療にはどんな種類がある?

最終更新日: 2024年05月13日

生き物は失ってしまった組織や器官を元通りに修復することができ、これを「再生」といいます。例えば、トカゲは失った尻尾を、元通りに再生することができます。皆さんも、けがをしたあと、皮膚にかさぶたができて、また元通りに治る経験をしたことがあることでしょう。このように、実はヒトも再生する能力を持っているのです。

再生する能力を利用した治療法は「再生医療」と呼ばれています。

再生医療の種類

私たちの身体には皮膚細胞や神経細胞、筋細胞など、異なる特徴を持つ様々な細胞が存在していますが、もとは同じ細胞から枝分かれして作られます。枝分かれ前の特徴的な細胞に変化していない細胞が「幹細胞」です。再生医療の中でもよく知られているのは、「幹細胞治療」で、自身の身体から幹細胞(または幹細胞の元になる細胞)を取り出して、修復したい組織や器官などを作り、また身体に移植する方法です。

再生医療には幹細胞治療の他にも種類があり、そのひとつにPRP(多血小板血漿)治療があります。Platelet-rich plasmaの頭文字をとっており、日本語では、血小板を多く含む血漿を意味します。血液に含まれる血小板は、傷口にかさぶたを作り皮膚を元通りにする過程で大事な役割を果たします。自身の身体から血液を採取し、PRPを作成、これを修復したい部分に注射することで治癒を促進する治療法です。

ここからは、幹細胞を用いた再生医療について詳しく解説していきます。

体性幹細胞による再生医療

再生医療に用いられる幹細胞のうち、成人の身体に存在する幹細胞が「体性幹細胞」。身体の組織が損傷した時に、新しい細胞を供給する細胞のことで、例えば、血液に含まれる細胞の元となる造血幹細胞などがあります。

なかでも、脂肪や歯髄、臍帯血などから容易に得られる「間葉系幹細胞」は、幅広い細胞に変化することが研究で分かっており、細胞治療にも多く実用化されています。

治療の例として、脳血管障害の治療をみてみましょう。

脳梗塞や脳出血、くも膜下出血などの患者から脂肪を採取して、幹細胞を分離・培養します。その後、培養した幹細胞は点滴により患者の静脈に投与されます。血管を通って体内をめぐり、損傷個所に集まった幹細胞は神経や血管の再生を促し、症状の改善効果が期待されます。

成人の患者本人の細胞を使用するため、入手が容易である反面、再生能力と変化できる細胞の種類には限りがあるので、適用可能な組織・器官は限られます。

iPS細胞を使った再生医療

受精卵を元にして得られる幹細胞にES細胞(胚性幹細胞)があります。身体をつくる初期の細胞であるため、様々な組織・器官へと変化できる能力を持ちます。しかし、ES細胞は受精卵を用いることから、入手が困難で、他人由来の細胞しか使えませんでした。そこで注目を集めているのがiPS細胞(人工多能性幹細胞)です。

iPS細胞は、身体から採取した細胞にいくつかの遺伝子を導入して樹立される細胞で、心筋、神経、肝臓や血液など、様々な組織・器官を作れるため、盛んに臨床試験が行われています。

加齢黄斑変性は、網膜の中心部である黄斑がダメージを受けて、視力の低下が引き起こされる眼の病気で、従来の治療法では十分な効果が得られていませんでした。2014年に、理化学研究所などのグループは、患者本人の皮膚から作成したiPS細胞で網膜を構成する細胞のシートを作り、網膜への移植手術を行いました。

医療での実用化には至っていませんが、加齢黄斑変性に代表される眼の網膜に関わる疾患や脊髄の損傷、パーキンソン病、がんなどの治療を目的とした臨床試験が活発に行われています。

 

   
 

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